「死に急ぐ奴らの街」「俺に撃たせろ!」電書化

2000年代に徳間デュアル文庫から出版されていた、

「死に急ぐ奴らの街」
「俺に撃たせろ!」

の電子書籍版が2020年10月9日(金)より各電子書籍ストアから発売されています。今買えます。「俺に撃たせろ!」は<新装版>になっていますが、過去に一部の電子書籍ストアで販売されていた(<新装版>発売と同時に終売になった模様)ので、それらと分けるために今回<新装版>となっていると思われます。

いつもはお知らせで終わりますが、ひさびさなのでちょっとつらつらと、

まず「死に急ぐ奴らの街」ですね。昔から火浦功作品は(文章が)軽い軽いと言われる事が多く、ハードボイルドといっても下北沢探偵公司(ハードボイルドで行こう)の山本辰吉さんみたいにトレンチコートを着ていること自体がギャグみたいな話のイメージが強いですが、真面目にハードボイルドしている作品です。各話の主人公(職業はさまざま)が次の話にチョイ役で登場しているのも当時は新鮮で楽しみました。初出は

「狼の歌が聴こえる」    SFアドベンチャー1986年4月号
「死に急ぐ奴らの街」    SFアドベンチャー1986年8月号
「リトル・ガール・ブルー」  SFアドベンチャー1986年11月号
「破滅する日を夢みて」   SFアドベンチャー1987年4月号
「かくも長き夜」      SFアドベンチャー1987年6月号
「ポータブル・ラジオの夏」 SFアドベンチャー1987年6月号

となっていて1980年代。書籍では徳間ノベルズMioから新書版(1987年)で発売後、徳間文庫の文庫(1991年)を経て徳間デュアル文庫(2001年)と3回出ています。結構売れたんでしょうかね?「ポータブル・ラジオの夏」は、とり・みき氏によって漫画化もされています。

左から徳間ノベルズMio版、徳間文庫版、デュアル文庫版。

カバーイラストはそれぞれ、谷口ジロー氏(徳間ノベルズMio)、いしかわじゅん氏(徳間文庫)、今掛勇氏(徳間デュアル文庫)でそれぞれ違います。

それでこの3冊、同じ作品ではあるのですがイラスト以外何か違いはあるの?と思われる方もいらっしゃると思うのでついでに記しておきます。主にあとがきと解説が違うのですが、

Mio版Mio版あとがき
徳間文庫版徳間文庫版あとがき、解説(とり・みき)
デュアル文庫版徳間文庫版あとがき、デュアル文庫版あとがき、解説(星敬)
デュアル文庫版(電子書籍)徳間文庫版あとがき、デュアル文庫版あとがき

となっていて、新しいデュアル文庫版なら全部入りかと思いきやそれぞれ違いがあり、あとがきも解説も全部読みたい!という場合には探すしかないことになります。

次に「俺に撃たせろ!」は変わってハードボイルド・コメディ(デュアル文庫版カバーの解説より)ということで、いや本人は至って真面目にハードボイルドしてて語り口もそうなんですかそうなってしまいます。

「俺に撃たせろ!」徳間デュアル文庫、イラストは今掛勇

こちらの初出は1990年代で

アルツ・ハマーへ伝言(前篇)  SFアドベンチャー1990年11月号
アルツ・ハマーへ伝言(後篇)  SFアドベンチャー1990年12月号
アルツ・ハマーへ伝言(第3回)   SFアドベンチャー1991年6月号
アルツ・ハマーへ伝言(第4回)   SFアドベンチャー1991年8月号
アルツ・ハマーへ伝言(第5回)   SFアドベンチャー1991年10月号
アルツ・ハマーへ伝言(完結篇)  SFアドベンチャー1992年3月号
俺に撃たせろ!番外編      デュアル文庫版のため書き下ろし(当時)

デュアル文庫での書籍化にあたってSFアドベンチャー掲載時タイトル「アルツ・ハマー」から「俺に撃たせろ!」に変わっています。
こちらはデュアル文庫版、デュアル文庫版(電子書籍)との違いはないようです。